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余白の美学
「引くこと」の豊かさ
「完璧とは、何も引けない状態である」。そう信じる店主の、引き算による表現を追求するカテゴリーです。一皿の上の空白、会話の間の沈黙。目に見える派手さよりも、削ぎ落とした後に残る本質的な豊かさを大切にしています。その美学を共有してくださる方へ、心安らぐ静謐な時間の価値を語ります。


【15年のスペシャリテ】余白を削ぎ、本質を研ぐ「鴨肉のロースト~アストゥリアス風~」
【スペシャリテ:カモ肉のロースト~アストゥリアス風~】 7月の15周年という節目を前に、私は今、自らの料理人としての歩みを一本の包丁のように研ぎ直しています。 その研ぎ澄まされた刃の先にあるのが、当店の絶対的スペシャリテ「鴨肉のロースト~アストゥリアス風~」です。 この料理と向き合うとき、私が最初に行うのは、徹底的な「削ぎ落とし」です。 鴨という素材が持つポテンシャルを最大限に解放するために、純粋な旨味を遮るあらゆる雑味を徹底的に排除する。皿の上に一切のノイズを残さないための、静かで妥協のない引き算。 しかし、それは単なる「引き算」で終わりではありません。 完璧な火入れによって肉本来の力強い生命力を閉じ込めたローストに、私は一筋の鮮烈な色を添えます。それが、赤ワインとリンゴだけで仕立てる、酸味と甘み豊かな「アストゥリアス風ソース」です。 多くの要素を詰め込んだ複雑なソースはいりません。 鴨の純度を高めたからこそ、赤ワインの深みとリンゴの甘酸っぱさという、厳選された最小限の調和が、肉の官能的な旨味を爆発的に引き立てるのです。 雑味を引くことで、本質

osamu N
7 days ago2 min read


味に「余白」を。15年目のトマトとアルバリーニョ
契約農家さん特選 味濃いトマト この店を開業し15年、常に自問自答してきたことがあります。 「お客様が最後の一口を飲み込んだとき、何が残っているべきか」 その答えの一つが、この「味濃いトマト」にあります。 使用しているのは、和歌山の契約農家さんが15年かけて当店のために育て上げてくださったトマト。 驚くほど濃密なその味には、塩も砂糖も、一切の調味料を足す必要がありません。 私は、このトマトの完璧な自立を尊重し、あえて味を完成させない「余白」を残しました。 その余白を埋めるのは、料理人の腕ではなく、お客様の五感です。 キリッとした酸と、ほのかな塩味(ミネラル)を感じる白ワイン「アルバリーニョ」を一口含んだとき。 あるいは、隣に座る大切な方と「美味しいね」と目を合わせた、その瞬間。 そのとき初めて、この料理は完成します。 皿の上にも、味の上にも、そして店内の空気の中にも、私たちは「余白」を大切にしています。 それは、お客様が主役として、その時間を愉しむための自由な空間です。 GW前の、活気ある火曜日。 忙しい日常に、少しだけ「味の余白」を取り戻しに来

osamu N
Apr 281 min read
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